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どんな芸術家も最初は素人だった

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ソニーの井深大氏の心に響く言葉より…


技術者として、本田宗一郎さんと私とのあいだに共通していたのは、ふたりとも、厳密にいえば技術の専門家ではなく、ある意味で“素人”だったということでしょう。

技術者というのは、一般的にいえば、ある専門の技術を持っていて、その技術を生かして仕事をしている人ということになるでしょう。


しかし、私も本田さんも、この技術があるから、それを生かして何かしようなどということは、まずしませんでした。

最初にあるのは、こういうものをこしらえたい、という目的、目標なのです。

それも、ふたりとも人真似が嫌いですから、いままでにないものをつくろうと、いきなり大きな目標を立ててしまいます。

この目標があって、さあ、それを実現するために、どうしたらいいか、ということになります。

この技術はどうか、あの技術はどうか、使えるものがなければ、自分で工夫しよう、というように、すでにある技術や手法にはこだわらず、とにかく目標に合ったものを探していく―そんなやり方を、私も本田さんもしていました。


たとえば、ソニーがテープレコーダーを開発するときなど、最初は何もわかっていませんでした。

磁気録音機を作ろうと思い立ったものの、わかっているのは、ごくごく原理的な部分だけで、テープひとつとってみても、材料もなければ、磁気材料の塗り方もわからない。

そんな素人集団だったのです。


こういう話をすると、ずいぶん無茶苦茶をしていたものだと感じられるかもしれませんが、まったくそうなのです。

本田さんも私も、目的を達成しようという執念がひじょうに強い。

目的のためには、どんなに無茶苦茶に見える手法であろうと、取り入れられるものはなんでも取り入れるのです。

その意味で、技術的には専門家でも玄人でもなく、まったくの“素人”なのです。


しかし、“素人”がこうして、ひとつひとつ苦労して自分自身の手でつくりあげていくからこそ、人真似でないものができるし、人が真似できないものがつくれるのです。

『わが友 本田宗一郎』ごま書房



「古今、物事を革新する者は多くはその道の素人である」(司馬遼太郎)


革新とは、その道に精通した専門家が行なうもの、と思いがちだ。

しかし、大きな革新は、固定観念を飛び越えたところにある。


人のやらないことをやるということが、今ほど必要とされている時代はない。

競争が激化し、人の真似では到底生き残れない時代となったからだ。


何かを成し遂げたいという、強烈な思いがあれば、かえって素人の方が有利な場合もある。

「どんな芸術家でも最初は素人だった」(エマーソン)


素人だからと、チャレンジをためらうことはない。
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